この想いが、キミに届きますように。
見てみるとそれは、お菓子コーナーでよくあるバター風味のクッキー。
それが三枚、彼の手元にあった。
「昨日姉ちゃんがくれてさ、誰かと食べようと思って持って来たんだけど、すっかり忘れてたから、よかったら田宮さん食べない?」
「電車来るまでまだちょっと時間あるし」なんて言いながら、彼は優しく笑う。
「じゃ、じゃあ、一枚……ください」
「一枚だけでいいの?」
「う、うん。だって、月島くんがもらったものなのに、私が多くもらっちゃうのは……」
「オレは別に……」
そこまで言うと、彼は少し考える素振りを見せて私にクッキーを一枚差し出すと、手元に残ったクッキーをひとつ半分に割った。
その様子を唖然として見ていると、彼はそれを開封して割れた半分を口に放り込み、残りを私の前に差し出した。