尚美~最後のレディース
再び真弓の家へ戻ると、玄関先に荷物をドスンと置いた真弓が、台所に向かって叫んだ。
「母ちゃーん。
今日から尚美、ウチの子ねー!」
すると、またしても台所から真弓の母親の返事が即答で返ってきた。
「あいよー!」
威勢の良い母親の返事にクスクスと笑っていると、真弓の父親が玄関先に笑いながら出てきた。
「お、家出か?ヤンキー娘」
「あはは。
真弓に誘拐されました」
「しばらく自分の家だと思って、ゆっくりしなさい」
「……。」
そう言ってニコッと微笑み、玄関先のダンボールをヒョイッと持ち上げた真弓の父親は、私の家庭の事情を知っている為か、何も聞かずに受け入れてくれた。
「…はい。
宜しく…お願いします…」
顔にアザを作って遊びに来る時は、冗談混じりに父親とタイマン張りましたと笑い飛ばすと、いつも決まって悲しそうな顔をしてくれる真弓の両親。
こんな良い両親からなら、真弓みたいな子が生まれるのは当然だなと、私は思った。