桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~
「お兄ちゃん、今日、一緒に寝ていい?」
「うん、いいよ」
それで茉昼が落ち着くなら、それでよかった。
兄妹だし、同じ布団で眠るくらい何とも思わなかった。すぐ隣には朝士も寝ていたし……。
「なんか、子供の頃みたいだね」
敷布団の上、3人で並んで横になると茉昼がクスクスと楽しそうに笑う。
「はは、懐かしいな」
「ねぇ、ギュッてして~。昔みたいに」
「茉昼は子供だなぁ」
苦笑しながら抱き寄せると、茉昼は嬉しそうに目を細めた。
「心臓の音がする。お兄ちゃんの腕すごく大きい、安心する」
「ははは」
「ねぇ、お兄ちゃんってさ。彼女と何ですぐ別れちゃうの?」
「んー?なんでかな」
「お兄ちゃんからは振らないんでしょ?」
「まぁ……、最終的には振られるよな」
「その女信じらんなーい!こんなに優しいのにさ……、えーい!」
「うわっ、くすぐったいって」
茉昼が茶化すように腹を擽ってくるから、仕返しみたいに指を立てると、茉昼はケラケラと笑顔を見せる。
「きゃははっ、同じだね。私も彼氏と続かないし」
「それはそれでどうかと思うけど」
「お兄ちゃんと一緒ならいーや」
茉昼は感情がぐちゃぐちゃになると、小さな子供みたいになって、いつも俺の布団に入り込んできた。
怒った時も、泣いた時も、落ち込んだ時も。
「私、智ちゃんだけいればいい」
そして、俺が抱き締めると、不思議なくらい簡単に落ち着いてしまうのだった。