桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~
12.甥っ子くんのかくれんぼ
「どうして、2人が一緒に帰ってきたのかしら?」
「あ……、」
お義母さんが訝しげに話し続けていくから、なんて返したらいいな分からなくて言葉に詰まる。
ヨレヨレの部屋着をきて、化粧もしていない。隣に立つ朝士くんも、寝癖ついてるし……。
明らかに2人とも朝帰りみたいな格好だった。
「どーだっていいだろ。彩里、行こうぜ」
「彩里ちゃん、どういうこと!?」
朝士くんが私の腕を引いて歩き出すと、お義母さんの言葉があたりに響き渡る。
「また、朝士ね。勝手に彩里ちゃんのこと、連れ回したりして!もう──……」
「あ、あの、お義母さん違くて……」
「はいはい、どうせ俺が悪いんだろー?」
「そういう問題じゃないでしょう?あなたはいつも理解出来ないことを仕出かして、相手を振り回して、周りに迷惑をかけて」
「うるせーなぁ、どうでもいいだろ」
「どうでもよくないわよ。彩里ちゃんは智夜のお嫁さんなのよ!巻き込んで何をやってるの?」
「知ってるよ」
「どうせ、あなたが無理やり車で連れ回したんでしょう?」
私の方が悪いのに。
私のせいで、朝士くんが悪く責められている。
本宅の前はホテルのすく隣だから、チェックアウトするお客さんたちが、ちらちらとこちらを見ながら通り過ぎていく。
「お義母さん、お客さんもいますし……」
なだめようとしても、声のトーンが下がることはなくて。
2人が口論になってる中、向こうから慌てた足音が近づいてきた。
「朝士!彩里ちゃん!!……と、母さん……」
智夜さんだ──。
「あ……、と、智夜さん」
「柊がいなくなったんだ!茉昼が……朝士と一緒にいると思ったみたいで……さっき、気がついて」
と口にする智夜さんは、切羽詰まったように息が切れている。
「え、柊くんが?」