桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~
14.桐田家の一員
「彩里ちゃん、ありがとね!」
「しゃいり、あいがとー」
車の中に、茉昼ちゃんと柊くんの明るい声が響く。
「2人とも無事で良かったよ」
智夜さんは仕事で抜けられず、朝士くんも学校ということで。今日は、私が茉昼ちゃん達を病院へ迎えに行くことになったのだ。
検査の結果、柊くんはあたまにも異常なし。無事退院となった。というか、誰よりも元気いっぱいで、看護師さんたちは大変だったらしい。
茉昼ちゃんの右足はまだ腫れているけど、軽い捻挫で湿布と痛み止めの処方だけで済んだ。
「心配かけてごめんね……」
彼女が申し訳なさそうに声のトーンを1つ下げる。そして、言葉を続けていく。
「あと、変なこと言っちゃってごめんね……」
「んー?」
「嫌な気分だったよね」
「何が?」
「また……女子会してくれる?」
「もちろん!茉昼ちゃんの怪我が治ったらね!」
そう言うと、茉昼ちゃんがほっとしたように頬を緩めたのが、ちょっとだけバックミラー越しにに見えた。
「はぁ~。でも……今日の迎え、彩里ちゃんで良かった~。朝士だったらどうしようかと思っちゃった」
「えー、私のとき朝士くんだったんだけど!」
「あはは、確かにそうだったね」
「団体対応で智夜さんが行けないからとかで」
「アイツの運転ヤバいでしょ!?」
「本当に!私、こっち来たばっかりだったのに、死かと思ったもん」
「あはは!……あっ、ねぇ柊危ないよ!」
「しゃー!!」
「ちゃんと座っててよ、もー!!」
あんなに大泣きしていた柊くんも、チャイルドシートから落ちそうなくらいに大はしゃぎで、茉昼ちゃんに怒られている。
──2人のこと、迎えに行ってくれるかな?
朝、智夜さんにそう頼まれたときは少し不安だったけど、2人に嫌悪感を抱くことがなくて──。
良かった、と自然と口元が緩んだ。