桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~
皆が寝静まったあと。眠れなくて1人、ウッドデッキへ出た。
消灯時間の過ぎた真夜中のキャンプ場は、静かで虫の声だけが響き渡る。
今日のお客さんは、誰も騒いでないな……。
随分と冷たくなった夜風に当たっていると、朝士くんがひょっこり顔を出した。
「どうした?」
「朝士くん……」
「彩里が出ていくのが見えて」
そう言って、朝士くんが私の隣にストンと腰を下ろす。
「うん、なんだか眠れなくて」
「……俺も」
「朝士くんでも、眠れないとかあるんだ。意外だね」
「なんだそれ」
「そのまんまの意味だよ」
「なんか最近、俺への当たり強くねーか?」
なんて、朝士くんが下から覗き込んでくるから、パッと顔を反らした。
「ほら、そうやって避ける!」
「気のせいじゃない?」
「いーや、俺の気のせいじゃない」
「だから、朝士くんって前から思ってたけど……距離が近いっていうか」
ぐいぐいと近付いてくるから、両手を伸ばして、朝士くんの胸元をぐっと押した。その瞬間、ピコンとスマホの通知が鳴った。
ポケットから取り出して画面を見ると、新着メッセージが1件。
「ゆうかだ……」
「ゆうかって、誰だ?」
「高校の友達で。ほら、この間こっちに遊びにきてくれた……朝士くんもホテルの前で一瞬会った子で」
「あー……、あの仲悪い奴か」
「仲良いよ!もう!……て、えぇっ??」
「どうした?」
ひょいと朝士くんが私のスマホを覗き込む。
「……」
「……ねぇ、朝士くん。あのさ──、」
───────────
───────
1週間後───。
柊くんの父親だという人が現れた。