桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~
確かにそうだ。父さんの意見に同意しかない。
逃げることだって出来た筈なのに、今になって顔を見せにきたということはそれなりの理由があるのだろう。
「……実は、このたび結婚することになりました。過去のことをきちんと整理したいと思ったんです。だから、けじめをつけに来ました」
は?男の言葉に耳を疑って、一瞬頭が真っ白になった。
茉昼がこの男と結婚を望んでいないとしてもだ、違う女と結婚するということは柊はどうなるんだ。
ぐっと膝の上で拳を作ると、まだそえられたままの茉昼の手が俺の手首をきゅっと握るから。
なんとか、傍観することが出来た。
もちろん、母さんが黙っていられるはずもなく、耐えきれられなくなったように、部屋の中に怒鳴り声が響き渡る。
「じゃあ、どうするのよ? あなたの子どもなんでしょう? 茉昼はどうなるの?」
「お母さん!お母さんが一番、柊の父親知りたがってたじゃない!彼とは終わってるし」
「でも、柊には父親が必要でしょ?」
「だからって、今さらやり直すつもりはない」
「茉昼、あなたずっと父親は分からないと言ってたのに」
「だって彼氏じゃなかったし、ちゃんと付き合ってたわけじゃなかったから」
「はぁ、情けない節操ないわ」
「何もみてなかったお母さんにそんなこと言われたくない」
「なんで早く言わなかったの!? 私はずっと、智夜を疑ってたのよ!」
「私は何度も違うって言ってたじゃん!」
義理母が頭を抱えてくらくらとらソファに倒れ込んだ。
「まぁ、それで。君は、どう責任を取るつもりだ?」
2人の言い合いを静かに見ていた父さんが、再び口を開いた。