桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~
15.大切な居場所

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「……ありがとう」

「俺、殴られるかと思ったんだけど」

「うん、ごめん。……今度こそ、最後だね」

「おう、もうここには怖くて来れねーよ」

「あは、そうだね。いいパパになってね」

「……分かった」


羨ましいよ。きっと一生思うんだろうな。

SNSで出産報告を見るたび。子供がいる家族を見るたび。
ずっと、心の奥に小さな痛みを抱えて生きていくのだと思う。




──俺は出来なかったから、幸せにして下さい──



智夜さんにそう伝えた和生の台詞が聞こえてきた。


違うよ、和生。

私は幸せにして貰うんじゃなくて、自分で選んで幸せになるんだよ。
そう思ったけど、わざわざ否定しには行かなかった。


もう、これで──本当に会うこともないだろうし。
和生が歩き出す背中を見送って、私もゆっくりと前へ歩き出す。
舗装されていないでこぼこな坂道を一歩一歩踏みしめて、自分のいるべき場所へと向かった。



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