桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~
16.義妹の新しい✕✕
季節は巡り、肌寒くなってきた秋の終わり。
私がこのキャンプ場に来てから、半年が過ぎようとしていた。
「彩里ちゃん、これお願~い!」
「はーい!」
茉昼ちゃんに呼ばれて、慌ててカウンターへ向かう。
キャンプ場の敷地内に出来た小さなカフェは、テイクアウトもできる。
私の役割は、簡単な盛り付けと接客、片付けだけど。
「いらっしゃいませ~」
お客さんを案内しながらお店の中を見回した。
店内が満員になることはないけれど、テイクアウトの注文が重なることはある。
今のところ、ランチはピザとドリンクのみ。
茉昼ちゃんは、これから少しずつメニューを増やしたいと話しているけど。
ちなみに、朝食の時間は智夜さんが担当していて、テイクアウト用のフレンチトーストを焼いている。
「はぁ~、やっとだね」
お客さんの区切りがついたところで、茉昼ちゃんが小さく息を吐いた。
「ね、お客さん引いたね」
「違くて、本当は夏にはオープンする予定だったじゃん?」
「え~?逆に、ゆっくりこの場所に慣れて良かったよ。あ、柊くんは保育園、泣かなくなった?」
「もー、全然!朝、預けに行ったら振り返りもしないんだよ!!最初は泣いてたくせにさー」
茉昼ちゃんが、キーッとむしゃくしゃした顔を見せるけど。柊くんの成長に、私まで少し寂しくなってしまう。
「最近さー、夜も柊すぐコテって寝てくれてさ」
「保育園で疲れちゃうのかな」
「体力おばけのくせにね」
「あは、体力おばけって何??」
「すんごい体力じゃん、アイツ!」
「あははは!」
笑い声が上がったところで、ピコン、とスマホのメッセージ音が鳴り響く。
茉昼ちゃんが、パッと自分のスマホを手に取った。
画面を見た茉昼ちゃんの表情が、いつも違うのはなんだろう。
保育園でママ友が出来たって話してたけど──。