桐田家のヒミツゴト~契約結婚したはずが、義弟との距離が近すぎる~


「100歩譲ってさー、俺の責任2割くらいじゃん?」

「よし、分かった。朝士、彩里ちゃん早くて明日退院だから」

「へー」

「迎え、お前な」

「は?」

「俺、団体客の対応で無理。動けない。お前、暇だろ?夏休みだし」

「だからってなんで俺がっ?」

「2割責任」

「え、でも俺、初心者マー…」
「てことで、彩里ちゃん。朝士が迎えに行くから」

初心者って聞こえたけど。初心者マークって事でしょうか?
智夜さんが"明日はどうしても仕事抜けられないんだ"と申し訳なさそうに言葉を続けていくから、そんな疑問も返せない。

え、私、こいつに命預けるの──?





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白い天上からつり下がるカーテンの仕切り。
病室の電気は消えて静かなのに、周囲から明かりが漏れてくる。
ぼんやりとスマホの画面を見ると、画面の上の部分にsnsの通知が入っているのが目に入った。

高そうな映え目当てのランチ。流行りの観光スポット。幸せそうな家族アピール。なんだか、今の私には遠い世界みたいで──。
いいねのボタンを押すのをやめて、そっとスマホを裏返しに置いた。


ズキン、ズキン──。

痛み止めが切れてきたのだろうか。
右足首に鈍く重い痛みが出てきたように感じる。
看護師さんから渡されていた痛み止めがあったのを思い出す。消灯台に手を伸ばし、それを口に含んでからゆっくりと目を閉じた。

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