桐田家のヒミツゴト~契約結婚したはずが、義弟との距離が近すぎる~
「「ごめんなさーい」」
なんで私がこんな当たり前のことで説経しなきゃいけないのだろうか。
素直に並んで座る2人は、まるで小学生と2歳児みたいだ。
「まだ、足、痛むか?」
「いたいー??」
「痛いわよ!」
痛さのあまり、涙目状態で鼻水をズッと啜る。
2人ともショボンと項垂れてるけど、そんなのに同情してあげられる程、そんな余裕はない。
「だから言っただろー!叩くなって」
「なー、あしゃもー」
「智夜も言ってたけどさ、怪我してる奴は優しく見守るんだと。だから、智夜の嫁……、この人……ん?」
朝士くんの視線が一瞬宙に舞い、何かを言いかけそこでぴたりと止まる。
「て、…あんた名前なんだっけ?」
は? 今?
「…………え、彩里だけど?」
涙目のままギロリと目を向けると、頭の上に乱暴に朝士くんの手が乗せられた。
「ふーん、彩里か」
さっきまでシュンとしていた筈なのに、彼が急に偉そうに胸を張りだした。
「なんかあったら呼べよ。安心しろ。俺が守ってやるからな、彩里!」
「しゃーり!!」
2人がキラキラした目で声を揃えて私の名前を呼ぶ。
朝士くんはどや顔で、得意げに笑っている。
……なんだろう。この先、不安しかない。