桐田家のヒミツゴト~契約結婚したはずが、義弟との距離が近すぎる~
「はよーーー、ともちゃ、しゃーり」
「おい、柊!お前、靴脱げ!」
勢いよく入ってきたのは柊くんと朝士くん。
相変わらず、靴を脱がない柊くんは朝士くんによって抱え上げられ靴を脱がされているけど。
もちろん、叱られてるなんて分かってなくて"きゃっきゃ"楽しそうだ。
「あ、彩里!足、どうだ?まだ痛むか?」
「うん、大丈夫。昨日はありが……」
「うまそー!!俺も智夜の朝ご飯食う!」
「ひー、スープいやっ」
「お前、野菜が入ってるからだろー?ちゃんと好き嫌いしないで食えよ~」
「やーーだっ」
話の途中だったんだけど……まぁ仕方ないか。
小さな息を吐いてじゃれ合う2人に目を向ける。朝士くんがニヤーッと覗き込むから、柊くんがプイッとそっぽを向いた。
「おはよー、彩里さん毎度ごめんね~」
そして、茉昼ちゃんが右手でごめんとジェスチャーをしながら続いて現れる。
「もー、柊ったら。嬉しくて仕方ないみたい。女の人好きだからさ、彩里ちゃんにも甘えちゃって」
「あ、ママー!」
茉昼ちゃんが私の隣の席に腰を下ろす。
すると、すかさず柊くんがやってきて、彼女の膝の上にちょこんと座った。
「柊のいたずらっ子!やんちゃし過ぎないでよ~」
「えー、やんちゃー?」
茉昼ちゃんが柊くんの頬を両手で潰して、柊くんがフニャリと笑う。
幸せそうなママと子供。
そんな光景に、胸の奥が少しだけざわついた──。
「あ、お兄ちゃん、私にもトースト焼いて!」
「はぁ、お前らには遠慮ってものはないのか?」
智夜さんも苦笑いを見せるけど。
文句を言いながらも立ち上がり、追加で3人分の食パンを焼きはじめた。