桐田家のヒミツゴト~契約結婚したはずが、義弟との距離が近すぎる~
「もー、お兄ちゃんベロベロじゃん!朝士、今日ひーお風呂入れて貰っていい?」
「えー、なんで俺?彩里の移動どうすんだよ」
「大丈夫、大丈夫~」
「柊くん、眠そうだし。智夜さんの言うとおり、大丈夫だから、おやすみなさい」
茉昼さんが智夜さんに対して"まったくもー"と口を尖らせながら、目を擦る柊くんを片手で抱える。反対の手で朝士くんを引きずるように連れて、ホテルの方にある本宅へと向かって行った。
日も完全に落ち、ランタンの灯りがぽつぽつと灯《とも》りはじめる。
あんなに騒がしかったキャンプ場も、いつの間にか静まり返っていた。
消灯時間が近づいた場内には、焚き火の匂いと、パチパチと薪がはねる音、静かな話し声だけが響いている。
「じゃぁ、彩里ちゃんも家に帰ろっかー。ははは」
智夜さんが私に顔を向けるけど。完全に酔っ払って、頬は赤く染まり目もうつろでトロンとした状態だ。
大丈夫とは言っちゃったけど、平気かな……。
なんとか、管理棟のすぐ裏の自宅まで連れてってもらって、簡単にシャワーを浴びたあと、ベッドまで運んでもらったけど。
智夜さんは完全にフラフラしていて、そのままバタンと私の横に倒れてしまう。
「え、ここで寝ちゃうんですか?」
いつもは柊くんを寝かしつけるから別々で寝ていたのに。
起きてください!と揺すったところで彼の目が開くことはなく、時々、1人で楽しそうに笑い声を出す始末。
信じられない……。