桐田家のヒミツゴト~契約結婚したはずが、義弟との距離が近すぎる~
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「大丈夫だね、順調にくっついてるね~」
レントゲンの画像を見ながら、先生が今後の経過の説明をしていく。
「若いから少し足を地面につけてもいいけど……でも、あと3週間くらいは松葉杖になるかな」
「え、まだそんなにかかるんですか?」
「そりゃ骨折だからね~ははは」
なんて、軽い声が診察室に響き渡る。
回復は順調でも、ギブスと松葉杖の不便な生活がまだまだ続くのだと思うと気が沈んでしまう。
「あのおじさん、順調だって言ってたじゃねーか。松葉杖も新しいのに交換できたし良かったな!」
診察室を出ると、付き添いできてくれた朝士くんがケラケラと笑いながらそう口にした。
「えー、でもあと3週間も松葉杖生活なんて」
「なーに、贅沢言ってんだよ!松葉杖が嫌だったら、俺が運んでやるよ」
「えー、それはちょっと。松葉杖で頑張るよ……」
少し前を足早に歩く朝士くんが「なんでそんな嫌がんだよー」と頬を膨らませているけど。
むしろ、なんでそんなに運びたいんだろう。
それよりも、朝士くんの車で帰ることを考えるだけで、ぞっとするほど恐ろしい。
夏休みのキャンプ場はピーク中で、結局送迎係は朝士くんになってしまったのだ。
まぁ。今こんな状態で、智夜さんの送迎になって2人きりになっても困るし。劇的に運転が下手でも、朝士くんの送迎で我慢するしかないだろう。
病院から車へ向かう途中、朝士くんが急に足を止めるから。松葉杖を急いでついていた私は彼の背中にドンッとぶつかってしまった。
「痛っ、何急に止まって……」
「彩里ってさ、智夜のこと好きなのか?」