桐田家のヒミツゴト~契約結婚したはずが、義弟との距離が近すぎる~
「お待たせしました~!トリュフ香る熟成和牛プレミアバーガーセット2つとリザーブコーヒーフロートになります!」
「わぁ~すっごいお洒落!!美味しそう~!写真撮っちゃお!」
「……」
白い大きなお皿には、ボリューム満点のハンバーガーとポテト、サラダがきれいに盛られている。
病院の帰り、朝士くんとやってきたのは、SNSで話題のカフェ屋さん。
お店の中はアンティーク風の木製テーブルと椅子がゆったりと並んでいて、スタイリッシュな雰囲気だ。
平日とはいえ夏休みということもあり、店内はお客さんで賑わっている。
そして、そんな中で落ち着かない人間が1人。
人混みのざわめきや他の客の視線にビクつき、顔を青ざめさせている朝士くんだ。
「さ、彩里はこういうところ来たことあるのかよ?」
メニュー表で半分顔を隠し、目を泳がせながら周りを確認している。
「ここは初めてだけど、SNSで見て来てみたかったんだ~」
「あーーー、こんなに人いて、落ち着かねぇ」
「じゃぁ、帰る?」
「帰らねぇよ!」
ぷっと口に手を当ててそう言えば、少し怒ったように朝士くんが立ち上がる。そして、私の隣に移動してドスンと腰をおろした。
「ちょっと、近いよ……」
「何の試練だよ、マジでこれ」
「なんで隣に座るのよ。食べにくいじゃない」
向かい合う2人用の席なのに、無理やり横に並んだせいで、体がぴったりとくっつく。
「しょうがねぇだろ?」
「いや、しょうがなくない!」
「とっとと、食おうぜ。あ、うまい」
「えー……」
狭いし、食べにくいんだけどな。
すぐ隣で大口をあけてハンバーガーを頬張る朝士くん。
でも、彼が無理してここにいるのは一目瞭然だから。連れてきてしまった罪悪感も少しあり、これ以上文句も言いにくい。
「あれ、朝士じゃーん?」