桐田家のヒミツゴト~契約結婚したはずが、義弟との距離が近すぎる~



「お待たせしました~!トリュフ香る熟成和牛プレミアバーガーセット2つとリザーブコーヒーフロートになります!」

「わぁ~すっごいお洒落!!美味しそう~!写真撮っちゃお!」

「……」

白い大きなお皿には、ボリューム満点のハンバーガーとポテト、サラダがきれいに盛られている。

病院の帰り、朝士くんとやってきたのは、SNSで話題のカフェ屋さん。
お店の中はアンティーク風の木製テーブルと椅子がゆったりと並んでいて、スタイリッシュな雰囲気だ。

平日とはいえ夏休みということもあり、店内はお客さんで賑わっている。


そして、そんな中で落ち着かない人間が1人。
人混みのざわめきや他の客の視線にビクつき、顔を青ざめさせている朝士くんだ。



「さ、彩里はこういうところ来たことあるのかよ?」

メニュー表で半分顔を隠し、目を泳がせながら周りを確認している。


「ここは初めてだけど、SNSで見て来てみたかったんだ~」

「あーーー、こんなに人いて、落ち着かねぇ」

「じゃぁ、帰る?」

「帰らねぇよ!」

ぷっと口に手を当ててそう言えば、少し怒ったように朝士くんが立ち上がる。そして、私の隣に移動してドスンと腰をおろした。


「ちょっと、近いよ……」

「何の試練だよ、マジでこれ」

「なんで隣に座るのよ。食べにくいじゃない」

向かい合う2人用の席なのに、無理やり横に並んだせいで、体がぴったりとくっつく。


「しょうがねぇだろ?」

「いや、しょうがなくない!」

「とっとと、食おうぜ。あ、うまい」

「えー……」

狭いし、食べにくいんだけどな。
すぐ隣で大口をあけてハンバーガーを頬張る朝士くん。
でも、彼が無理してここにいるのは一目瞭然だから。連れてきてしまった罪悪感も少しあり、これ以上文句も言いにくい。





「あれ、朝士じゃーん?」


< 40 / 47 >

この作品をシェア

pagetop