桐田家のヒミツゴト~契約結婚したはずが、義弟との距離が近すぎる~
声のする方に顔を向ければ、そこにはめちゃくちゃ派手な女の子が立っていた。
明るいツートンカラーの髪。大きなピアスに派手なネイル。いかにも陽キャタイプだ。
「やっぱそうじゃん!久しぶりー!!」
「……あ?」
朝士くんが顔を上げる。
そして次の瞬間──、
「おっ、あかね!久しぶりだな!」
さっきまで青ざめていた顔が、ぱぁぁっと一気に明るくなった。
「朝士がカフェとかウケるんだけど!!」
あかねと呼ばれた女の子がケラケラ笑う。
「何言ってんだよ。俺だって普通に入るし」
朝士くんが胸を張るけど。
……え、いや。さっきまで死にそうな顔してたよね。
「えー、うそだぁ。絶対ムリじゃん」
「あー?バカにすんな」
2人がそんなやり取りをするのを、唖然と見ていれば、あかねちゃんの視線がふっと私に向けられる。そして、彼女の目と口元がニヤーッとなった。
「……あれ?もしかして、朝士の彼女~?」
「こいつ、智夜の嫁!」
なぜか朝士くんがどや顔を見せれば、あかねという名前の子が、一瞬で納得した表現になる。
「あー……ね。朝士に彼女できるわけないか」
「うるせーな!」
「ねぇ、また今度、あやっちと一緒に遊ぼうよ~」
「お、アイツ元気か?」
「めっちゃ元気!毎日バイトしまくり」
「お前ほっとかれてるんじゃねーの?」
今度は朝士くんがゲラゲラと笑い声をあげる。
「こっちはちゃんとリア充してますぅ~」
「はぁ~ん?」
「その雑な返しなに!?朝士ムカつく!」
あかねちゃんがドスッと朝士くんの胸元を叩いて。朝士くんが「この暴力女!!」と文句を言っている。
……なんだろう、この感じ。
さっきまであんなに落ち着かなかったのに、 今はすごく自然にみえる。
友達……でいいのかな?朝士くんって、友達の前だとこんな感じなんだ。しかも女の子の友達。
「てかさー、智夜さんの新しいお嫁さん。こういうタイプなんだ~。へぇー」
彼女の視線が、今度は私に向けられ、頭の先から足元までゆっくりと移動していく。