桐田家のヒミツゴト~契約結婚したはずが、義弟との距離が近すぎる~
「たいまー」
「うおっ、すげぇ涼しい!!」
なんて朝士くんと柊くんの声と同時に、扉が勢いよく開けられる。
「何処まで行ってたの?もー、びしょびしょじゃん!」
「川の方で遊んできた!冷たくて気持ち良かったぞ」
「かわー、つめちゃい」
「えー、溺れたらどうすんの?危ないから気を付けてね!」
朝士くんも柊くんも凄く楽しそうに笑ってる。
けど、上から下まで全身びしょびしょ状態の2人に、茉昼ちゃんがあきれ返ったように息を吐いた。
「きゃー、しゃいり!」
柊くんが私の存在に気づいて、目をキラキラと輝かせるから。つい、こっちまで頬が緩む。
ぱたぱたと走って、椅子に座った状態の私に抱きついてきた。
「つ、冷たっ……」
柊くんの服もびしょ濡れだから、私の服にもじんわりと水が染み込んでいく。
冷たくて気持ちいいけど、結構濡れちゃうな……。
「ちょっと、柊!彩里ちゃん濡れちゃうじゃーん!」
「このくらい、大丈夫だよ……」
「もー、こっち」
そう言って、茉昼ちゃんが柊くんをパッと引き離すと、腕の中が一気に軽くなる。
彼女はそのまま柊くんにタオルを被せて、ゴシゴシと髪を拭きはじめた。
「マーマ、ねむーい」
柊くんが目をこすりはじめて、小さなあくびをすると。茉昼ちゃんに甘えるようにピタッと抱きついた。
「え?あぁ、水遊びしたら疲れちゃうよね」
「んんーー、ねーんねー」
さっきまであんなに上機嫌だったのに、眠いからか一気に柊くんの機嫌が悪くなっていく。
そんな柊くんに茉昼ちゃんが、優しく声をかける。
「じゃあ、あっちでお昼寝しよっか」
「茉昼ー、俺にもタオルー」
「自分で取って!私、柊 寝かしつけるから」
「はぁ?ケチだな」
朝士くんはぶつぶつ言いながらも、「まあ、そのうち乾くだろ」そう呟きながら、扉の向こうへ出ていった。