桐田家のヒミツゴト~契約結婚したはずが、義弟との距離が近すぎる~



茉昼ちゃんも柊くんを連れて別室へ行ってしまったから、このスペースに私と智夜さんが残される。
急に部屋の中がシンと静かになるから、無言の空気に耐えられなくて、慌てて口を開いた。



「柊くんって、可愛いですよね!」

「はは、ギブスの上から叩かれたのに?」

「あれは、確かにめちゃくちゃ痛かったですけど!でも、ニコニコしてて本当に天使みたいです。泣くと手ぇつけられないですけどね」

「そうだね。可愛いよ、小さい頃から──」

「えー、まだ小さいですよね?」

そういえば、前に未婚のシングルマザーだって話をしてた。結婚しないで……、柊くんを出産したってことだよね?

その時の人とはどうなったのな。
茉昼ちゃんも色々あるんだろうけど。



「あ、朝士くんもあんな感じだったんですか?柊くんみたいなやんちゃタイプ!」

「いやー、朝士は……あいつは本当にすごかった……」

「すごいって何ですか?」

「目、離したらすぐどっか行くし」

「あはは、今もそうですよね!」

「外では静かなのに……なんでかすぐああなる」

「なんか、想像つきます」

「俺は、何度 朝士を連れて頭を下げに行ったか……」

と、何処か遠くに視線を向けてから智夜さんは再び口を開いた。


「川で流されるし、木登りしては飛び降りるし。ジェル状の洗剤はゼリーだと思って食べるし。屋上からどこまで見えるか気になったって言って、フェンスよじ登って学校から電話かかってきたし。樹海では本当に方位磁石が使えなくなるのかって、テレビでやってたの見て、その日の夜に磁石持って出てっちゃうし、あれは警察に捜索願いの電話してたよ。2日後に力尽きてるところを発見されてさ。はぁ。それに、お風呂のお湯にドライヤー突っ込んでぐるぐる回して竜巻作ろうとしたんだと。感電して風呂場で倒れてる時、俺は心臓が止まるかと思ったよ」

彼が真顔で力説するので、内容はひどいのに説得力があって笑ってしまう。



「……で、本人は超楽しそうに笑ってたんだよな」

「もう笑いすぎて、もうお腹痛いんですけど!」

「ふははっ、俺もこんなに話したの久しぶりだよ」


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