桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~
「……え?」
「大丈夫?って言ってね、夜中でも来てくれるんだ」
「智夜さん、優しいお兄ちゃんなんだー、ふふっ」
「えへへー、そうなの!」
茉昼ちゃんが、すごく嬉しそうに笑った。
なんか、智夜さんから朝士くんとか家族の話を聞いてたから、この3人の絆を感じて。私はまだその中に入れて貰えていないなんだと、少しだけ寂しさが胸に残る。
「だからさー、なんかあっても、まぁいっかって思えるっていうか」
「えー、いいな……。そんなお兄ちゃん」
「いつも、いつも私のこと助けてくれて、泣いてると飛んできてくれて茉昼大丈夫か?って──、
昔から、自慢のお兄ちゃんだったんだ」
私もそんな兄弟欲しかったななんて、ぼんやりと思う。
いつの間にか日は落ちて辺りが暗くなってき──て。
ランタンの灯りをつけて、茉昼ちゃんが焚き火の準備をはじめていく。
「やっぱ、キャンプといえば焚き火でしょ」
「あはは、焚き火もはじめて~」
「彩里ちゃんのはじめてまた頂き~」
「きゃーー」
パチパチと薪が燃え上がる炎を見て、気持ちが高まる中。ぼんやりと星空を眺める茉昼ちゃんの横顔が、儚く綺麗にみえて消えてしまうんじゃないかって思った。
静かに音をたてて流れる空間に、火の粉が舞い上がる。ゆらゆらと揺れる橙色をずっと見ているとなんだかしんみりしてきた。
焚き火を見ていると、吸い込まれそうで、じわりと小さな寂しさが広がってくる。
そのまま視線を反らすように、スマホを取り出してカメラをタップした。
「彩里ちゃん、写真撮るの?下から連写撮るといいよ~。あ、SNS教えてよ~」
「いいけど、最近何も投稿してないよ」
最近は、ここ1ヶ月見てもいなかったな。
SNSの通知も切っていたから、見ないフリをしていたけど。
「ふふ、久しぶりに何か上げようかな。焚き火と、さっきのピザとパスタのやつ上げてもいい?」
「いいよ~!!宣伝にさ、うちのタグつけて~」
「え~、分かったよ」
無理に反応をする必要はないけど。
色々あって忙しかったとはいえ、メッセは返した方がいいよね。
茉昼ちゃんが私のスマホで、カシャカシャと連写して画面を確認していく。
「へへへ~、どれがエモいかな~」
「わ、キレイに撮れてる!」
「あ、噂の……朝士と行ったカフェ?ちょー映えるじゃん」