桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~
それから、眠りの浅い夜が続いた。
仕事中にぼーっとしてしまって、同じミスを何度も繰り返してしまい。集中しようとしても、頭の中にぼんやりとした霧がかかったようにすっきりしない。
「彩里、無理するなよ」
ちゃんとやらなきゃ。頑張らなきゃ。
私がこんなだと、和生にも迷惑かかっちゃう。
ちゃんと、しないといけないのに。
「気分転換に出掛けよう!」
「彩里は真面目だなぁ。考え過ぎだよ」
「いつまでも引きずってないでさ」
「無理して仕事続けなくていいから」
頑張ってるつもりだった。
和生も私を攻めている訳じゃないのも分かってたし。
周りの人も気を遣ってくれてるのも理解していた。
でも、同僚が妊娠したのをきっかけに退職を決めた──。
仕事を辞めてから2度目の妊娠が発覚して。
「本当に?やったじゃん!」
和生は、また凄く喜んでくれた。
今度こそ、気をつけなくちゃ。
ちゃんと赤ちゃんが育つようにしなくちゃ。
今度こそ、大丈夫だと思いたかった。
「……成長が、止まっていますね」
お医者さんの言葉に、目の前が真っ暗になる。
「今回で、2度目になりますよね」
先生はカルテに目を落としたまま、静かに言葉を続けていく。
「こういうことが、続いてしまう方も、いらっしゃって……」
続く?
「体質的な要因が関係している可能性もあります」
体質?
「血液の状態や、子宮の形などですね。検査をすれば、分かることもありますが……」
血液?子宮……?
お医者さんが説明を続けていくけど、理解がすぐ追い付かなくて、単語を追うので精一杯だった。
「次の妊娠が、必ずうまくいくとは限りません」
あ、そうなんだ……。
そっか。私、うまくいかないんだ。
そういう体なんだ。