桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~
「また無理だったの──?あんたは欠陥品ね……本当に可哀相な子だわ」
母は大きな溜め息を吐いた。初孫を楽しみにしてたのに、お友達にも話しちゃったのにね、とブツブツと文句を続けていく。
最初、妊娠したときは、順番が恥ずかしいとか言ってたくせに……。
報告なんてしなきゃよかった。
「大丈夫だって、」
和生は優しかった。最初は励ましてくれた。
落ち込んでいる私を慰めようとしてるのが伝わってきた。
でも、足元がぐらぐらで、いつまでもふわふわとしていた。地面に足がついていない感覚が続いていて──、私たちの関係はギスギスしたものになっていく。
「ごめん、離婚しよう」
「……え?」
「本当にごめん。大分にもついて来なくていいから」
「ちょっと、待ってよ……そんな急に言われても」
「だって彩里、お前──……、無理じゃん」
「……」
「うーん、実は親にも子供のこと言われてさー。俺、やっぱり自分の子供欲しいし」
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「おーい!!彩里ーー!!!」
ドンドンドン、と扉の叩く音が響くから。
はっと、現実に引き戻される。
この聞き覚えのある声は、紛れもなく朝士くんだ。