桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~
「智夜と全然タイプ違うのな。彩里はああいうのがタイプなんだ?」
「そういうワケじゃないけど……」
「つーか、俺。ここで、聞いてて良かったのか?」
「……うん、心強かった」
「そっか」
朝士くんがスクッと立ち上がって、もう見えなくなった和生の方向に目を向ける。
「……離婚の理由なんだけどね」
「うん?」
「私……子供できにくい体質なんだって。それが原因で別れたんだ」
「は?なんで、俺に?」
「なんでだろ?聞いて欲しかったのかな……。誰かに」
「……」
「ちなみに、茉昼ちゃんも、智夜さんも知らないから。バレたら朝士くんしかいないからね」
「わ、マジか!?」
「誰かに言ったら、一生軽蔑する」
「えー……、どうすんだよ、俺」
なんて、朝士くんが頭を両手で抱える。
けど、そこ悩むところなんだ……。
「ふふっ、それ誰にも言わなきゃいい話でしょ」
「そうだけどさー」
「じゃぁ、その記憶、別のことで上書きしとく?」
そう言うと、朝士くんの頬がほんのり赤くなって。目を丸くして、一瞬固まる。
「はぁ??それやったら彩里怒るだろ?!」
「あはは、怒るよ。今度は、ただのビンタじゃすまされないよ」
「こえ~~。勘弁しろよ。俺、彩里にシカトされるのだけはヤダな。むちゃくちゃ、寂しかった」
彼が困ったように眉を下げるから、ちょっとおかしくなってきて、顔を下から覗き込んだ。
「あはっ、寂しかったの?」
「んー、うん。すっげー、寂しかった」
拗ねたように唇を尖らせる朝士くん。
「どのくらい?」
「このくらい!!」
朝士くんが両手を横に大きく広げた。
こういうやり取り久しぶりだな、なんて自然と口元が緩む。
すると、彼が思い付いたように口を開いた。
「あのさ、俺、彩里に見せたいものがあるんだ!」