桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~
暗がりの向こうから、朝士くんが現れるから心臓が大きく飛び跳ねた。
「なんだよ、さっきから2人して子供子供ってさー」
朝士くんがムスッとしながら、ぶっきらぼうに言葉を続けていくと──、
「あしゃー」
柊くんが朝士くんの存在に気が付いて、顔がぱぁぁと明るくなってしまう。
あ、せっかくウトウトしてたのに……。
「ははは、悪い悪い」
「絶対、悪いと思ってないだろ?なんだよ、茉昼は?」
朝士くんが柊くんをバトンタッチして、大きく上にあげると、柊くんがキャッキャと声を出して喜びだすけど。
……智夜さん、寝かしつけする気、あるのかな。
「あいつ飲み会」
「えー、最近多くね?智夜は甘いんだよ!だから茉昼はつけあがる。なんでもかんでも、言うこと聞けばいーってもんじゃねーだろ」
朝士くんは智夜さんと話をしていて、全然こっちを見ない。
気にすることなんて無いのに。なんでだろう、ざわざわと胸の奥が落ち着かなくなっていく。
「きゃー、あしゃ、もっとーー」
「はぁ。それ、朝士が言うのか?……で、お前は何してるんだ?さっきまで、あっちの本宅にいただろ?」
「あー、うん」
朝士くんが私の方にチラリと視線を向けるから、バチリと目が合って。一瞬、息が詰まる。
「ちょっと、彩里と遊ぼうと思って」
「え、わ、私と??」
「おい!なんで、こんな時間に彩里ちゃんと遊ぶんだよ?お前さー、彩里ちゃん女の子なんだぞ?危ないだろ」
「あしゃー、たかーい、やってー」
「外じゃねーもん。部屋の中でホラー映画でも観ようかと思って。な、彩里!」
「えっ……!??」
同意を求められるけど、そんな話全然聞いてないんだけど。
しかも、ホラー映画って。
夜、この家に1人になるのに。トイレ行けなくなるやつじゃん
「お前、彩里ちゃんはお前の友達じゃないんだぞ?なんだと思ってるんだよ」
「可愛いと思ってる!」