桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~
「ほら、そういうところが子供なんだよ。なんでも思ってること、口にすればいいってもんじゃないだろう」
「本当のことだし!本当のこと言わないのが大人なのかよ?彩里は怒ってても、泣いてても可愛いし、笑うとマジでヤバい!めちゃくちゃ可愛いんだ!!」
「ちょっ、ちょっと……朝士くん??」
頬にに熱があがって、ぼっと顔が赤くなるのが自分でも分かる。
「ま、まさか、彩里ちゃん朝士と付き合って……。俺はてっきり朝士が勝手に色々やらかしただけかと…」
私の反応をみて、智夜さんが一瞬固まってから、驚いたように目を丸くする。
「違います!」
私の大きな声が辺りに響くと、智夜さんが溜め息をついてから口を開いた。
「はぁ。これ以上ごちゃごちゃな家族で問題起こさないでくれ」
「智夜、お前がいうなよ。柊のことだって……」
「朝士」
智夜さんの低い声が静かに落ちるから、空気が重くなったその時──、
「やぁぁぁ……ともちゃぁぁ、うぇぇぇん!!!!」
柊くんの叫び声が、夜のキャンプ場に大きく響いた。
「柊っ、ごめん、びっくりしたよな~」
「ほら、大丈夫だぞ、怖くないからな」
智夜さんに続いて、朝士くんも焦ったようにあやすけど、柊くんの泣き声はなかなか収まらない。
泣き声が夜の静けさに大きく広がっていくと、キャンプ場の方から人の気配を感じた気がして……。
これ、ちょっとマズイんじゃないかな。
「中、入らないと!」
2人の背中を押すようにして、慌てて家の中へ入った。
「うぇぇぇぇ、しゃいりーー」
そのまま、今度は私が柊くんをバトンタッチして抱き上げた。
抱っこなんて慣れていなくて、腕の中が少しぎこちないけど。それでも柊くんは、ぎゅっと私の服の裾を掴んで身を寄せてくる。
「柊くん、大丈夫だよ。智夜さんも、朝士くんも怖くないよ」
「ううう……、」
その小さな体を、そっと抱きしめた。
さっきの智夜さんみたいに、背中に手を回し、ゆっくりと、トントンと優しく撫でる。
「まぁま……、ま……ま」
どのくらいたっただろうか。
ぐずぐずしていた柊くんが、少しずつ静かになって、規則正しい寝息をたてていく。
そっと顔を覗き込むと、眉間にシワを寄せ、親指をくわえた状態で眠っていた。