桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~
「やっと、寝たか……」
「マジで勘弁……」
智夜さんと朝士くんが、その場に力が抜けたようにヘタヘタとしゃがみ込む。
良かった、と思ったのも束の間。
完全に眠りに入った柊くんは、驚くほどずしりと重たい。腕が辛くて、智夜さんに渡そうとするのに「んんんー」と柊くんが声を出すから──。
「もう、ここで寝かせばいんじゃね?」
なんて、朝士くんが呆れたように言う。
「うーん、彩里ちゃんがいいなら」
続けて、智夜さんが遠慮気味に私に目を向けるから、ぎゅっと目と口を瞑る柊くんに視線を落とした。
「……今から本宅に戻るの可哀想ですしね」
もうこんな時間だし、しょうがないよね、
寝室のベッドに柊くんと一緒にゆっくりと横になると、智夜さんが反対側の柊くんの隣に自然と寝転がった。
「は?智夜は床だろ?」
「柊が落ちたら危ないだろう?ここ、柵とかないんだから」
「じゃぁ、俺もベッド」
「朝士は床」
「はぁ?」
「ちょっと、静かにして下さい!」
小声で叫ぶと私の服を掴む柊くんの手に力が入る。
と、そんな流れで──。
大きなベッドに、左から朝士くん、私、柊くん、智夜さんの順で並んで電気を消した。
なんか、距離ちかくない?柊くんが大変だからと思ったけど、落ち着かないんだけど。
「俺、毎日、寝かし付けてるのになぁ。彩里ちゃんに負けた……」
「俺だって、毎日、柊と遊んでやってるのにさー」
「そんな、負けたとか勝ったとかじゃないですよ」
智夜さんの項垂れる声と朝士くんの拗ねる感じの声に、思わずクスクスと笑ってしまう。
「はぁ、自信無くすよ」
「俺たちとは違って軟らかいからな。女は」
「あぁ……、確かに柊は茉昼の胸元にくっついてるな」
「安心すんじゃねーの?柊なんてまだ赤ちゃんみたいなもんだろ」
「……子供はズルいよな」
「いいよなー」
「ちょっ、何の話をしてるんですか?」
少し間が空いてから、智夜さんと朝士くんの小さな笑い声が部屋に響いた。
「ははは、冗談だよ」
「なんかさー、こういう話してると、修学旅行みたいじゃね?」
「お前、行ってないだろ」