桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~
「うるせーな!だって、学校なんてつまんねーじゃん」
「……大学は?」
「結構、面白い」
「それは良かったな」
智夜さんが目を細めて笑っているのが、暗がりでも分かる。
でも、間に挟まれてる私はなんて反応すればいいのだろうか。
今はちゃんと学校楽しいんだ、良かったとか。
背中越しに聞こえる声に、朝士くんとの距離が近いな、とか。妙に落ち着かない。
「……修学旅行もさ、憧れはあったんだけど。彩都にもしつこく言われたし。でも、あの頃はやっぱ無理でさー」
彩都って?はじめて聞く名前……。
朝士くんのお友達かな。
それにしても、朝士くんが話すたびに、首もとに息が当たってくすぐったいんだけど。
そもそもこのベッドに4人って無理あるでしょ。
「普通さ、ここで枕投げとかやるんだろ?」
「柊起きるからやめろ」
「ふふっ、やらなかったよ」
朝士くんの言葉に、即座に智夜さんが突っ込むから、思わず笑ってしまう。
「そうなのか?彩里はどこ行ったんだ?」
「え、私は普通に沖縄かな」
「それ普通なのか?」
「宮古島行ったり、泳いだり、夜は部屋で暴露大会かな~」
「暴露大会って?」
「えー、まずは好きな人いるの?とか……」
ここまで口にして、しまったと思った。
──俺、好きな人がいるんだ
結婚の契約をした時、智夜さんに言われた言葉が脳裏に浮かぶから、慌てて言葉をつけたした。
「あ、でも。男の人が何話すかは分からないから、智夜さんはどうでした?」
「うん、でも男もそんな話するんじゃないかな。クラスで誰が可愛いとか、何人とヤッ……いや、付き合ったことあるかとか。あとはまー枕投げたりベッドにダイブしたり、どんどんふざけてく感じだったかなぁ」
「そうか、じゃぁさ、智夜は誰が可愛いと思う?」
「……はは、柊」
「……私も柊くん」
「はぁ?こいつ、生意気じゃん」
静かな部屋に3人の声が響く中、ベッドの真ん中で、柊くんがスヤスヤと眠っていた。
「じゃぁ、次な。何人と付き合ったことある?」