桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~
「あ、うん」
「ありがとね!」
茉昼ちゃんが、私の肩をポンと軽く叩いて、にっこりと笑顔を見せるけど。なんだろう、曖昧な何かが引っ掛かる。
なんて、モヤモヤしていると。智夜さんが、フレンチトーストをカタンとテーブルの上に置いて、背後から声をかけてきた。
「おはよ、彩里ちゃん。丁度、朝ごはんできたよ」
「あ、おはようございます」
「昨日はありがと。それと、朝からごめんね、うちの次男坊が。はぁ、全くアイツは何をやってるんだか人に当てるものじゃないだろう」
「いえ……、」
さっきのやり取りが、全部みんなに聞かれてたみたいで、恥ずかしくなってくる。
そっか、朝の事情は普通なのか……。
でも、酔っぱらった智夜さんのも、当てられたことありますけど!
……とは、さすがに言えなかった。
「なんだよ、彩里。まだ怒ってんのかよ?」
「……」
「当たり前だろ?彩里ちゃん、何かあったら俺に言って」
「もー、いーじゃん。男なんてそんなもんでしょ」
「おいっ、無視すんなよ!」
「……」
「しゃいりー、きゃーー!!」
騒がしいまま朝が過ぎていく中、スマホがピコンと音を立てる。
SNSを更新したあたりか、友達や同僚からの連絡がくるようになった。
和生だってその中の1人だったし。まぁ、彼は直接来ちゃったのだけど──。
画面を見て、懐かしい名前が目に入る。
高校の同級生。1番仲良かったんだよな。
最後に会ったのいつだっけ?彼女とは和生と結婚した後も、連絡取ってたんだよね。
『今週末、そっち行っても大丈夫?』
「……えっ!?今週??」
スマホに表示された急なメッセージに、思わず声が出た。