桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~



***




「彩里、久しぶり~!!」

「ゆうか!久しぶり!!ここまで遠かったでしょ?」

玄関を開けると、ゆうかと小倉くんが並んで立っていた。



「うん。……で、その人が旦那さん、でいいのかな?」

ゆうかが、私の隣にいる智夜さんに、興味津々に目を向ける。



「えっと、こちらが智夜さんです」

「彩里ちゃんから話は聞いてるよ。今日は来てくれてありがとう」

智夜さんが、いつもの穏やかな顔に輪をかけて、爽やかな笑顔を見せるから。なんだろう、恥ずかしくて思わず視線を足元に向けてしまう。


「で、こっちが高校の同級生のゆうかと、その彼……じゃなくて、旦那になった小倉くんです」

私がそう言うと──、


「はは、いいね。高校生の頃から付き合って、そのまま結婚か。憧れるな。あ、立ち話じゃなんだから、どうぞ上がって」

なんて、智夜さんが会話をスムーズに繋げていく。
流石、キャンプ場オーナー。接客は得意なのだと改めて思う。






「珈琲と紅茶どっちがいい?」

「あ、私は紅茶で」

「俺は珈琲でお願いします」

智夜さんがキッチンに向かうと、ゆうかが目をキラキラとさせて身を前に乗り出してきた。



「30に見えないよね?若いよね?めちゃくちゃ、落ち着いてて格好いいじゃん!筋肉も最高!!」

「ここにお前の旦那いるんだけど」

「あはは!相変わらずだね、2人とも!」

小倉くんが苦笑しながらツッコミを入れるから、変わらない2人に懐かしさを覚える。



「それにしても、凄い良いところじゃん!この家も可愛いし。旦那さんも良い人そうだし。本当に良かった!」

ゆうかが私の事を本当に心配していたのが伝わってきて、胸が痛んだ。

私……、ゆうかに嘘ついてるんだよね。
智夜さんとは契約結婚で、本当の夫婦じゃないこと。


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