桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~
「彩里、改めて結婚おめでとう!」
「うん、白河……じゃなくて、えーと桐田になったんだっけ?おめでとう」
ゆうかに続いて、小倉くんもお祝いの言葉をくれる。
「うん、ありがと!ゆうか達こそ結婚おめでとうだよ~!2人ともこんな遠くまで訪ねてきてくれて、嬉しいな……」
「彩里のSNS見てさ、行ってみたいなーって思ってチェックしてたら。丁度、キャンセルが出てさ。これ運命だーって予約しちゃった!!」
「あはは、なにそれ?」
ゆうかがマシンガントークみたいに話し続けて、それが止まると一気に静かになる。
「あのさ、うん、彩里……あのね」
「……うん」
「彩里には直接伝えたくてさ」
なんとなく、この先の報告は予想がついた。
「私、妊娠したんだ」
「……えー、おめでとう!」
「ありがと……」
ゆうかから結婚報告がきた時、25歳で結婚は早いから、きっと、きっかけがあったんだろうなと思った。
彼女が、眉を下げて気まずそうな表情を見せるから。私を気づかってくれていることが、痛いほど伝わってくる。
「いつ産まれるの?」
「来年の春が予定日」
「そっか~、ゆうかもママで小倉くんがパパかぁ。高校から知ってる身では嬉しいなぁ」
「あ、ねぇ、旦那さんとはどこで知り合ったの?」
「彩里ちゃんの地元に甥っ子と遊びに行った時、偶然会ったんだ」
智夜さんが、カタンと音を立てて、紅茶と珈琲をテーブルに置いた。
「わ、ありがとうございます!え~、偶然って凄いですね!」
「そこでね、うちの甥っ子が、彩里ちゃんにボールをぶつけちゃってね。洋服泥だらけにしちゃったのが話すきっかけかな」
そう言いながら、智夜さんも向かいの椅子に腰を下ろす。
「で、そこで連絡先交換して、個人的なやり取りが始まったんだ。……改めて話すと、ちょっと恥ずかしいな」
いつもと変わらない穏やかな笑顔、柔らかな声のトーン。
半分以上は本当のことだけど、スラスラと自然に出てくるから。
智夜さん、嘘上手だな。助かってる筈なのに、どなんかちょっと複雑……。