桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~



学年が上がるにつれ、茉昼は同年代の女子との関係が上手くいかない事が増えていった。

人一倍寂しがり屋の茉昼。嫌われるのが怖くて、最初は無理してでも相手に合わせるけれど、慣れてくると独占欲が強くなっていく。
せっかくできた友達が他の子と話していると怒ったり。少し気に入らないことがあると、感情的になると周りが見えなくなってしまうのだ。

距離が近くなりすぎては、友達関係が崩れる──を、何度も繰り返していた。



***




「お兄ちゃん、汚い……」


中学生になると、反抗期なのか、茉昼は俺を避けるようになった。
女の子だし仕方がない事だと思う。俺は朝士が起こす問題に付き合うのに忙しかったし、茉昼の事は気に留めていなかった。


そんな茉昼に"彼氏"が出来たと知ったのは、茉昼が中学2年の頃だった。




「智夜、遊びに行っていい?」

「あー、うん。いいよ。誰もいないし」


大学の午後の講義が無い日は、自身の彼女を家に連れ込む事がよくあった。

彼女と一緒に家へ向かう道中。
朝士は学校の帰り道、どうせ遊んでくるだろうし、茉昼も最近は帰り遅いから、今日ヤれるな。そんな事を呑気に思っていた。

ゴム何個残ってたかな?そんな事を頭の片隅で考えながら玄関を開けると、土間に白いスニーカーが2足あった。

それは茉昼の学校用のものと、その隣にもう1足。見た事のない薄汚れた学生用のスニーカーが並んでいる。
それは、父親のものではなかった。


――誰かいる。




「なぁ、誰か帰ってきたんじゃね?」

「え、うそ?早っ」

奥の部屋から、男の声と茉昼の声が聞こえてきたから、一瞬、思考が停止する。
直後、ガタガタと物音がした。




「ねぇ、智夜。家族いるじゃん?」

「……いるね」

「妹ちゃん、もしかして彼氏連れ込んでるのかな?」

足元のスニーカー2足に視線を落とし、クスクスと笑う彼女に嫌悪感を抱いたのを覚えている。



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