(マンガシナリオ)九条先生の恋愛授業

11話


○学校・下駄箱前(夏休み・午前中)

くるみ(あーあ、今日からついに補習かぁ……)

学生鞄を肩にかけて、重い足取りで歩くくるみ。

「手塚さん!」と、自分の名前を呼ぶ声に振り向くくるみ。サッカー部のジャージを着た早苗がそこに立っている。

早苗「おはよう。」

くるみ「おはよう。」

早苗「夏休みに学校?部活?」

くるみ「いや、あの……」

もごもごと返事を詰まらせるくるみ。そこへ蓮と颯斗が駆けてくる。

蓮・颯斗「おはよー。」

くるみ「おはよう。」

蓮「珍しいね、手塚さんが夏休みに学校に来てるの。あ、もしかして九条先生に会いに来た?」

蓮の言葉にきょとんとする早苗と颯斗。くるみの顔はみるみる赤くなる。その姿に蓮が「あっ!」と言って、口を押さえる。

蓮「ごめん、俺、今、確実に口滑らした!?」

くるみ「うん……でも、いいよ。全然。」

くるみ(そっちの方が鏑木さんも安心できるはずだから。)

颯斗「えっ?なに?手塚さんって九条先生のこと好きなの?」

颯斗の言葉に蓮とくるみの顔を交互に見てから、返事のできないくるみの代わりに、颯斗の肩をばしっと叩く早苗。

早苗「野暮な質問しないでよ。ほら、二人とも早く行きなさいよ。アップ始まるんでしょ。」

蓮・颯斗「はぁい。」

走り去って行く蓮と颯斗。


早苗「もしかして、私に気を遣ってくれた?」

首を振るくるみ。

くるみ「違うの。鏑木さんや高柳くんと話をした時、私も気付かされたの。佐々木先生に手塚さんの本当に好きな人って違う人じゃない?って言われて……」

早苗「……ねぇ、手塚さんが良かったら、もっと色々な話をしたいわ。私ね、あんな風に私にはっきり言ってくれた人、あなたが初めてだったから嬉しかったの。それで、手塚さんともっと親しくなれたらいいなって思った。」

くるみ(鏑木さんが私を?こんなザ・普通の私の言葉に嬉しいなんて言ってくれるんだ。)

くるみ「うん。あ、そう言えば夏休みに君にゾッコンラブの映画するよね?」

早苗「するする!私、超楽しみにしてるの。あっ、一緒に行く?」

くるみ「もちろん!ねぇ、もう一人、友だち誘ってもいい?嶋 翠ちゃん。」

くるみ(きっと翠ちゃんも見たいはずだから。それに、高柳くんとのことを応援してくれていた翠ちゃんにも、今のことをきちんと話したい。)

早苗「颯斗の彼女よね?もちろんよ。」

そこで連絡先を交換するくるみと早苗。

早苗「また連絡するね。」

くるみに手を振って立ち去る早苗。

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