人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ~妻と奏でるラヴソング~ 【新編集版】
常務は今日も不機嫌そうな顔だった。
見た瞬間、嫌な予感が蘇ってきたが、〈この人には機嫌のいい時がないのだから気にすることはない〉と言い聞かせて、説明を始めた。
常務は歳暮専売品と通販専売品の包装紙を見比べながら、前回と同じように口をへの字に曲げて聞いていた。
しかし、説明が終わっても速射砲の非難が飛び出してくることはなかった。
目の前の商品を睨みつけて、どうイチャモンを付ければよいかと、考えあぐねているようだった。
わたしは恐る恐る口を開いた。
「スーパーマーケットで売っている商品とは別物だということは一目瞭然ですから、スーパーのバイヤーはクレームの付けようがないと思います。そして、百貨店のバイヤーも、見た目がこれだけ違って、更にネーミングとJANコードが違うのですから、クレームはつけられないと思います。いかがでしょうか」
しかし、問いには答えず、常務は眉間に皺を寄せた。
一気に不安になったが、もう一押し頑張った。
「テスト・マーケティングということで、ご承認いただけないでしょうか?」
しかし、またもや返事はなかった。
心が凍りそうになったが、ふとあることに気がついた。
常務が貧乏ゆすりをしていないのだ。
もしかして、と思っていると、苦虫を噛み潰したような声が耳に届いた。
「何かあったら君の責任だからな。俺は責任を取らないからな」
常務はわたしを一瞥して部屋を出て行った。
ドアが閉まった瞬間、ほっとして腰が抜けたようになった。
そのまましばらく動けず、次に予約している人がドアをノックするまで応接室に居続けた。
会社を出ると、雲間から太陽が顔を出していた。
祝福してくれているように感じたので「ありがとう」と呟くと、乾の顔が浮かんできた。
彼女のおかげだった。
今度は東京の方に向かって「ありがとう」と呟いた。
見た瞬間、嫌な予感が蘇ってきたが、〈この人には機嫌のいい時がないのだから気にすることはない〉と言い聞かせて、説明を始めた。
常務は歳暮専売品と通販専売品の包装紙を見比べながら、前回と同じように口をへの字に曲げて聞いていた。
しかし、説明が終わっても速射砲の非難が飛び出してくることはなかった。
目の前の商品を睨みつけて、どうイチャモンを付ければよいかと、考えあぐねているようだった。
わたしは恐る恐る口を開いた。
「スーパーマーケットで売っている商品とは別物だということは一目瞭然ですから、スーパーのバイヤーはクレームの付けようがないと思います。そして、百貨店のバイヤーも、見た目がこれだけ違って、更にネーミングとJANコードが違うのですから、クレームはつけられないと思います。いかがでしょうか」
しかし、問いには答えず、常務は眉間に皺を寄せた。
一気に不安になったが、もう一押し頑張った。
「テスト・マーケティングということで、ご承認いただけないでしょうか?」
しかし、またもや返事はなかった。
心が凍りそうになったが、ふとあることに気がついた。
常務が貧乏ゆすりをしていないのだ。
もしかして、と思っていると、苦虫を噛み潰したような声が耳に届いた。
「何かあったら君の責任だからな。俺は責任を取らないからな」
常務はわたしを一瞥して部屋を出て行った。
ドアが閉まった瞬間、ほっとして腰が抜けたようになった。
そのまましばらく動けず、次に予約している人がドアをノックするまで応接室に居続けた。
会社を出ると、雲間から太陽が顔を出していた。
祝福してくれているように感じたので「ありがとう」と呟くと、乾の顔が浮かんできた。
彼女のおかげだった。
今度は東京の方に向かって「ありがとう」と呟いた。