人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ~妻と奏でるラヴソング~ 【新編集版】
好調な出足に気を良くしたわたしは二人に感謝の言葉を伝えたが、彼らはにこりともしなかった。
「でも、これからですよね。新規で購入していただいたお客様が1回限りでなく何回もリピートしていただくようにしなければならないですから」
乾は気を引き締めていたし、それは担当者も同じだったが、タイミングを見ていたのか、新たな提案が彼の口から飛び出した。
「その通りです。通販で売り上げと利益を伸ばすためにはリピート客をいかに増やすかが鍵と言っても過言ではありません。そこで、メールマガジンを始めたらどうかと思っています」
「メールマガジンって、あのメルマガですか?」
その声の響きは賛同とはほど遠いもののように思えたが、彼が気にすることはなかった。
「そうです。顧客に対して定期的に情報を発信して関係を維持していくものです」
「お得な情報とか、新製品の発売案内とか、ですよね」
「それもあります」
「でも、私もメルマガを毎日のように受信しますけど、ほとんど読みませんよ」
「それは、興味がない情報だからではないですか」
「そうですね、確かに。何日までに申し込めば何十パーセント引きとか、今買っている商品にもう一品追加すればこういう特典がつきますとか、買わせようという意図が見え見えのメルマガが多いので、最近は開封さえしなくなりました」
「そうですよね。乾さんのご指摘の通りだと思います。でも、だからこそやる意味があるのです」
「えっ?」
「売ることしか考えていないメルマガが多い中、顧客の立場に立ったメルマガがあれば際立つと思いませんか?」
「そうですね~、でも、お客様の立場に立ったメルマガといっても……」
「顧客の悩み、不安、不満に寄り添うものだったらどうですか」
「悩み、不安、不満、ですか……」
「そうです。共働き女性の気持ちに寄り添って、理解し、共感し、共に考えるという姿勢でメルマガを発信するのです」
「そっか~、商品ではなく、お客様の気持ちに寄り添う内容にするのですね」
「そうです。商品に関する情報は最後でいいんです」
「なるほど。確かに、そんなメルマガがあれば読むかもしれません」
その言葉を待っていたかのように、彼は単刀直入に切り出した。
「乾さんがやってみませんか?」
「えっ? 私?」
「そうです。乾さんはターゲットの女性たちと同じ共働きで、その大変さを実感されています。顧客そのものと言ってもいいくらいですから、お客様の気持ちに寄り添えると思うのです。共働きという同じ環境で生活している仲間として、共に悩み、共に不安を感じ、共に不満をぶつけ合う、そんなメルマガにしたら共感を呼ぶのではないでしょうか」
二人のやり取りを聞いていてうまくいきそうな気がしたので思わず口を出した。
「乾さん、どう?」
すると彼女はちょっと躊躇うような表情を浮かべたが、「そうですね~、自分が経験している日々の大変さをメルマガという形で発信するのなら……」と自らに言い聞かせるように呟いた。
「それでいいと思います」
担当者が背中を押した。
「やってみようよ」
間髪容れずわたしも背中を押した。
しかしまだ乾は躊躇っているようで、首を傾げて自信なさそうな声を出した。
「でも、上手くできるかどうか……」
もう1回背中を押そうかと思ったが、それをすると逆効果になりかねないという気がしたので、彼女がその気になるのをじっと待つことにした。
すると、わたしたちの顔を窺っていた彼女は「自信はありませんが……」と口を濁したので、すかさず〈君なら大丈夫〉というように大袈裟なくらいに頷いた。
それを察知したのか担当者が同じように大きく頷くと、覚悟を決めたように「わかりました。やってみようと思います。その代わり、一緒になって考えていただきたいので、お力添えを頂きたいのですが」と躊躇いを消した。
「もちろんです。私たちはチームですから」
担当者が胸に手を置くと、彼女は初めて安堵するような表情を浮かべた。
「でも、これからですよね。新規で購入していただいたお客様が1回限りでなく何回もリピートしていただくようにしなければならないですから」
乾は気を引き締めていたし、それは担当者も同じだったが、タイミングを見ていたのか、新たな提案が彼の口から飛び出した。
「その通りです。通販で売り上げと利益を伸ばすためにはリピート客をいかに増やすかが鍵と言っても過言ではありません。そこで、メールマガジンを始めたらどうかと思っています」
「メールマガジンって、あのメルマガですか?」
その声の響きは賛同とはほど遠いもののように思えたが、彼が気にすることはなかった。
「そうです。顧客に対して定期的に情報を発信して関係を維持していくものです」
「お得な情報とか、新製品の発売案内とか、ですよね」
「それもあります」
「でも、私もメルマガを毎日のように受信しますけど、ほとんど読みませんよ」
「それは、興味がない情報だからではないですか」
「そうですね、確かに。何日までに申し込めば何十パーセント引きとか、今買っている商品にもう一品追加すればこういう特典がつきますとか、買わせようという意図が見え見えのメルマガが多いので、最近は開封さえしなくなりました」
「そうですよね。乾さんのご指摘の通りだと思います。でも、だからこそやる意味があるのです」
「えっ?」
「売ることしか考えていないメルマガが多い中、顧客の立場に立ったメルマガがあれば際立つと思いませんか?」
「そうですね~、でも、お客様の立場に立ったメルマガといっても……」
「顧客の悩み、不安、不満に寄り添うものだったらどうですか」
「悩み、不安、不満、ですか……」
「そうです。共働き女性の気持ちに寄り添って、理解し、共感し、共に考えるという姿勢でメルマガを発信するのです」
「そっか~、商品ではなく、お客様の気持ちに寄り添う内容にするのですね」
「そうです。商品に関する情報は最後でいいんです」
「なるほど。確かに、そんなメルマガがあれば読むかもしれません」
その言葉を待っていたかのように、彼は単刀直入に切り出した。
「乾さんがやってみませんか?」
「えっ? 私?」
「そうです。乾さんはターゲットの女性たちと同じ共働きで、その大変さを実感されています。顧客そのものと言ってもいいくらいですから、お客様の気持ちに寄り添えると思うのです。共働きという同じ環境で生活している仲間として、共に悩み、共に不安を感じ、共に不満をぶつけ合う、そんなメルマガにしたら共感を呼ぶのではないでしょうか」
二人のやり取りを聞いていてうまくいきそうな気がしたので思わず口を出した。
「乾さん、どう?」
すると彼女はちょっと躊躇うような表情を浮かべたが、「そうですね~、自分が経験している日々の大変さをメルマガという形で発信するのなら……」と自らに言い聞かせるように呟いた。
「それでいいと思います」
担当者が背中を押した。
「やってみようよ」
間髪容れずわたしも背中を押した。
しかしまだ乾は躊躇っているようで、首を傾げて自信なさそうな声を出した。
「でも、上手くできるかどうか……」
もう1回背中を押そうかと思ったが、それをすると逆効果になりかねないという気がしたので、彼女がその気になるのをじっと待つことにした。
すると、わたしたちの顔を窺っていた彼女は「自信はありませんが……」と口を濁したので、すかさず〈君なら大丈夫〉というように大袈裟なくらいに頷いた。
それを察知したのか担当者が同じように大きく頷くと、覚悟を決めたように「わかりました。やってみようと思います。その代わり、一緒になって考えていただきたいので、お力添えを頂きたいのですが」と躊躇いを消した。
「もちろんです。私たちはチームですから」
担当者が胸に手を置くと、彼女は初めて安堵するような表情を浮かべた。