『変人・奇人の時代』~異質学を究める女性准教授の物語~【新編集版】
「スペインが良かったので次はポルトガルへ行こうということになり、翌年にリスボンとポルトに行ったのですが、このポートワインにはまっちゃいましてね」
2人で6本買って帰ったのだという。そのうちの一つを開けてくれたのだ。
「これは30年ものなんですよ」
長期熟成タイプらしく少し赤みのかかった琥珀色で、一口含むと上品な果実味と優しい甘さが口の中に広がった。
「食後酒としてこれ以上のものはないと思うんですよね」
先見さんがうっとりとしたような表情になった。口の中に広がる味わいを楽しんでいるのだろう。
「ブルーチーズと合うんですよ」
奥さんが小皿をわたしの前に置いた。
見た途端、固まった。青カビタイプはちょっと苦手なのだ。思わず小皿と睨めっこしてしまったが、「遠慮なくどうぞ」と先見さんにも勧められたので仕方なく息を止めて一口食べた。
正にブルーチーズだった。あの苦手なブルーチーズだったので慌ててポートワインを口に含んだが、すると、あれっ? カビ臭さが消えた。
ん? いけるかも。
魔法にかかったような気持ちになった。
「マリアージュでしょう。ブルーチーズとポートワインの結婚!」
悪戯小僧のような目で先見さんに見つめられたが、その通りだった。
正にマリアージュ。1+1=3、いや、10。見事という外なかった。
2人で6本買って帰ったのだという。そのうちの一つを開けてくれたのだ。
「これは30年ものなんですよ」
長期熟成タイプらしく少し赤みのかかった琥珀色で、一口含むと上品な果実味と優しい甘さが口の中に広がった。
「食後酒としてこれ以上のものはないと思うんですよね」
先見さんがうっとりとしたような表情になった。口の中に広がる味わいを楽しんでいるのだろう。
「ブルーチーズと合うんですよ」
奥さんが小皿をわたしの前に置いた。
見た途端、固まった。青カビタイプはちょっと苦手なのだ。思わず小皿と睨めっこしてしまったが、「遠慮なくどうぞ」と先見さんにも勧められたので仕方なく息を止めて一口食べた。
正にブルーチーズだった。あの苦手なブルーチーズだったので慌ててポートワインを口に含んだが、すると、あれっ? カビ臭さが消えた。
ん? いけるかも。
魔法にかかったような気持ちになった。
「マリアージュでしょう。ブルーチーズとポートワインの結婚!」
悪戯小僧のような目で先見さんに見つめられたが、その通りだった。
正にマリアージュ。1+1=3、いや、10。見事という外なかった。