御曹司たちの溺愛レベル上昇中
▶▷抜き打ち
「誰か何か頼んだか?」
「僕は何も。雪兄さんは?」
「俺も違うよ」
「わたしも頼んでないけど……」
じゃあ何だ?となり、颯くんが共有ルームから出ようとした時、ドアノブが動いた──
「はっ!?」
颯くんが思い切り後退ると同時に、入ってきた人物は、
「村田さん!」
わたしをここに導いてくれた紳士、村田さんだった。
初めて会った時と同じようにスーツを身に纏い、
被っていたハットを取ると、村田さんは微笑み混じりに会釈をする。
「お久しぶりでございます、琉衣さん。坊っちゃま方」
「お久しぶりです!」
村田さんのもとへ行くわたしとは反対に、颯くんは徐々に後ろへ。
「むむ、村田!何で急に!?ま、まさか俺たちなんかした!?」
変に挙動不審というか……焦りすぎというか。
分かりやすい。
「おや、颯坊っちゃま。お心当たりでもおありで?」
「なっ……いと思いたい」
そしてぶつぶつと、何かしたのか一人考え出してしまった颯くんに、村田さんは微笑んだ。