御曹司たちの溺愛レベル上昇中
▶▷プチハプニング
明かりを灯した途端に、再び薄暗い空間へ逆戻りしたリビング──
沈黙が訪れたと思いきや、颯くんが急に慌て出した。
「……い、い今の聞いたよな?聞こえたよな!?ドゴンって」
「はぁ……聞いたけど、もう変なことはあの時の雪兄さんで十分なんだけどな」
怖がる素振りが微塵もない響くんに、
「……俺、なんかしたっけ?」
同じくさほど気にしていない雪さんは、なんのことかとわたしたちに問う。
「いや、したろ!」
「……やめて下さい颯くん、あの料理がフラッシュバックしたので」
「奇遇だな響、俺もだ」
「わたしも……」
暗いキッチンから魚の……
その日から雪さんは料理することを禁じられたんだった。
「全然わからない……」
「いいよもう。雪兄さんの場合、あの件は悪意じゃなく善意なんだから。気にしないで」
「……そう?わかった」
思い当たる節がないのか、悩みだす雪さんの肩を響くんは優しく叩いた。