御曹司たちの溺愛レベル上昇中
「でもこれアレ、アレだろ……!?絶対アレだよな!?」
話がそれたのを修正し、うろうろとわたしたちの前を歩き回りながら同意を求めてくる颯くんに、響くんは訝しげな顔をする。
「アレアレうるさいよ。何?」
「だからっ……いや雪兄と響はともかく、小柳が怖がるといけねぇから言わねぇ……」
「え、気になる」
「ですよね。琉衣さんも気になるって。颯くん早く言って下さい」
途中で言うのをやめられると余計に気になってくるものでしょ。
それにこの状況で颯くんひとり、この音と停電の原因に心当たりがあるのか騒いでるんだから。
わたしと響くん、それに雪さんの無言の視線を浴びて颯くんは迷った果てに"アレ"について話し出した。
「……つまり」
「お化けとか子供みたいなことは言わないですよね?」
「言わねぇよ。聞けって。……つまりだな、こういう展開になったら、この後はもう決まってるって話だ。……ひとり、またひとり……聞いたことくらいあんだろ!?」
……ゲームや漫画の見すぎでは?
颯くんが、ぜってぇそうだこれはもう……と頭を抱える中で、わたしたち三人は顔を見合わせた。
そんなことはないだろう、と。
だけど徐々に騒ぎ度が増してきた颯くん。
「ちょっとっ……情緒不安定になりすぎですよ。落ち着い──」
「ここに侵入者が来たら終わりだぞ!?皆やられる!それに響、お前ヒョロヒョロしてっからターゲットにされるぞ!その前に女の小柳か……!?」
怒涛の勢いで口が回る颯くんに、少しずつ響くんの表情がお怒りに……