御曹司たちの溺愛レベル上昇中
▶▷おそるべし末っ子
電気は天候のせいなのか一時的なものだったらしく、夜まで何事もなかったかのように過ごしていた。
疲れたのか颯くんと雪さんはお風呂上がり、ソファでうとうとしていて。少し離れてわたしは腰を下ろす。
最後にお風呂に入った響くんは、タオルを肩に髪が濡れたまま戻ってきた。
「はぁーあ、二人とも……部屋で寝ればいいのにね」
「後少ししたら、部屋に戻るよう声かけよっか」
わたしはお風呂に入ったせいか、目がさえてるけど。夏とは言えこのまま二人を放っておくわけにはいかないし。
「よいしょっと」
響くんはわたしの隣に座るも、その手にはお茶のペットボトルが二本。
「響く──」
「さて、夜になったことだし……少しの間二人は置いといて、僕と過ごしましょ」
「え?あっ……ちょっと!?」
ペットボトルを持ちながらわたしを横抱きにして立ち上がり、響くんはにこりと微笑む。
「……颯くんとはクラスで二人で話せるし、雪兄さんはさっき二人きりになったんだもん。僕だってその権利はあるでしょ?」
そう言って、リビングから出ようとする。
その権利って、二人になるってこと!?
「ちょっ、響くん待って!?わたし松葉杖っ」
「いらないよ。起きたらここまで運んであげますから。それまでは……ね──」