御曹司たちの溺愛レベル上昇中

「は……?」
「恋路?」


うん、と笑う響くん……のことを見てから颯くんと雪さんの視線がわたしへとかわり……。
颯くんがずかずかとわたしのもとへ来て屈んだ。

「……小柳っ、お前響のこと──」
「え?……ちがっ、そういうのではなくて……おわっ!?」


言い終える前に、颯くんに担がれてしまいまたも身動きが取れなくなる。


「颯くん何してるの」

「うっせ。寝るから小柳を部屋に送るだけだ。……わりぃ雪兄、松葉杖くれ」
「わ、分かった。はい」
「さんきゅ。……おやすみ」


担がれているから、颯くんの背中しか見えなくて、二人におやすみも手を振ることも出来ないまま、わたしは颯くんに連れられ部屋へと送られた。

部屋の明かりをつけることなく担がれたままベッドにおろしてもらい、ずっと黙っていた口を開く。


「は、颯くん、運んでくれてありが──」

「響に何された」


「……え?あぁ……何っていうか」


ただ、ぎゅっとされた、だけ。一応。
これ、言うべきなのかな。

俯きかけた視線を、暗い中で上げかけた。
だけど、



ギシッ──



その前に颯くんの片膝がベッドに乗ったのが視界に入った。


「小柳」


多分、今顔を上げてはだめ。
名前を呼ばれただけで、吐息が分かったから。


「……顔上げろ」
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