御曹司たちの溺愛レベル上昇中
ムリムリっ!そう思いながら、首を横に振れば、顎をつかまれ強引に向かせられる。
「……っ」
やっぱり近い。暗くてもはっきり顔が見えてしまうくらいに。
って、あれ?なんか……
「颯くんお、怒ってる?」
どことなくそんな感じがして、尋ねてみれば颯くんは一瞬目を見開いた。そして、わたしから目をそらし深呼吸をしてから頷いた。
「ああ……怒ってる。……あんな近くにいて、あんな光景見るまで気付かなかった自分にな」
「自分に?」
「……そうだよ。で、響には?」
やっぱり言わないといけないパターンだこれ。
「いや……その、ぎゅっとだけ、です」
「だけ、でなんであんなことになってんだよ」
「うっ……響くんが抱きしめ返してって言ったけど、わたしがなかなかしなかったというか……出来なかったというか……そのせいだと思う」
しびれを切らして、みたいな。
わたしも軽くポンポンって返せば良かったのかもしれないけど。
「ふうん……」
というか、顎から手が離してもらえない。
「お前、松葉杖が武器とか言いながら防御力なさすぎ。だから簡単に響につかまる」
「それは……確かに言ったけど」
「それに、今も俺につかまってんの。俺が何かしようと思えば全然できるんだけど?」
徐々に体重がかけられ、わたしはベッドに肘をついた。