御曹司たちの溺愛レベル上昇中
そんなことを考えながら歩けば、憂鬱な学校へとたどり着く。
だけど、なにかあったのか校内がざわついているようで……。
廊下を歩いていると、何かをコソコソと話してる子たちばかり。
夏休み終わりで持ち上がる話題となれば、誰かと誰かが付き合ったとかそういうこと?
逆に別れた、とか。すぐに広まるから。
にしてもこんなピリピリするような空気感だと、他に何かあったのかも。
夏休み明け早々、いい雰囲気で始まる空気ではなさそ──
「ねぇ、琉衣ちゃん」
「え?えっと……」
席に着いた矢先、普段ほとんど話さない少しチャラめな女子グループに声をかけられ、明らかに挙動不審さがでてしまう。
だけど、冷静に冷静に。
「どうかし──」
「琉衣ちゃんって、彼氏何人いんのっ?」
「……え?」
笑いまじりに問われた言葉の意味が、さっぱり理解できない。
固まるわたしに、他の生徒からも視線が集まり、またコソコソと始まる。
──あのざわつきは、わたしのこと?
彼氏?
何人いるの?
その意味が全く分からないから、答えようがない。
でも答えないわたしを見てか、言葉に詰まってるのだと耳に届いてきた。
「か、彼氏なんていないし、そもそも何で……」
「これ見なよ」
押し付けられたのは、【号外】とでかでかと書かれた新聞。
一体何が──
「あー……噂をすれば小鳥遊くんじゃん」
え?