御曹司たちの溺愛レベル上昇中
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「あっ」
持っていたゴミ箱から風で飛ばされたプラスチック容器。
無事に文化祭は終わり、後片付けでゴミ出しに行くと言って外に来たのに、風のせいで飛んでいくから拾わないといけなくて、中々出しに行けてない。
「……よかった、倉庫あって」
転がっていく容器を追いかけ、倉庫にぶつかったのを見て安心。これ以上飛ばなそう。
早く出して教室戻らないと。
倉庫目がけて走っていけば横から……
好きです、と聞こえてきた。
──え?
誰?……そう思い横目でつい見てしまうもゴミ箱で顔を隠し体を反射的に後ろへと引いて戻った。
──響くん居たっ……!!
容器を手にすぐ壁に隠れ、回収ボックスがある方へと走った。
告白していた女の子は背中を向けていたから、わたしに気づいてないけど、不可抗力とはいえ居合わせてしまった感が……申し訳ない。
でもやっぱり文化祭って告白する子多いんだ。わたしには無縁すぎるけど、目の当たりにしたからびっくり……。
「……え、でも待って」
響くんも颯くんも、今日告白される側なんだ。
「あれ、琉衣ちゃん?ゴミ出し一緒だ」
「っ雪さん」
正面からわたしに気付いた雪さんがゴミ箱を手にやって来る。