御曹司たちの溺愛レベル上昇中
だから、目だけ覗かせてみると颯くんは無言のままわたしの手を引いて起こす。
「……わりぃ、欲張ろうとした」
垂れた耳が見える、ような錯覚を起こすくらいシュンとした姿にときめいて、大丈夫という意を込めて首を横に振れば安心した顔つきに戻った。
「別に、さっき言ったみたいにお前が本当に嫌って思うことはしねぇししたくねぇ。でもあれだ。その……あれだよ」
颯くん恒例の"あれ"。
そして少しの沈黙。
颯くんが続きを言わないからどうにか察しようと、わたしなりに考えてみたけれど、またこれもお約束なのかこれといって思いつくことはなくて。
「えっと……あれ、とは?」
「ばっかだなぁ……。だ、だから……俺もそれなりに彼女が出来れば、あれもこれもと欲が出てくるわけで。……ちょ、ちょぴ……いや、ほどよく?やましい気持ちもなくはないわけっつーかなんつーか」
ちょぴっと、と言いかけたところが頭から離れない──とは言えない。
言ったらまた余裕だなって言われちゃいそうだから。
「……それでって、小柳?お前なんかニヤけてない?」
「だい、じょうぶ」
ではない。
『ちょぴ』が……。尾を引いている。
「おい、俺いま恥ずかしながらも伝えてるとこだからな?」
「……うん。聞いてるよ」
「聞きながら変なこと考えてんの丸わかりだ。俺の小柳Eyeなめんな」
「な、なに小柳Eyeって……」
初耳。