御曹司たちの溺愛レベル上昇中


「大丈夫……貧乏生活してきたわたしの忍耐力は人並み以上なはずだ。少しずつ頑張っていけばいい」


自分に言い聞かすように言って、ひとり頷く。

その決心と同時に、ドアがノックされた。


「あ、はいっどうぞ」


返事は一応したけど、返ってきたのはドア越しの小鳥遊くんの声だった。


『……風呂、沸いたから入ってこいよ。場所はわかるだろ?』

「お風呂……」


もうそんな時間だっけ。


『聞いてるか?』

「き、聞いてるっ!小鳥遊くんたちは?わたし最後でいいよ?」


ドアの方に向いて正座で答えると、少しの間があいてから返事が返ってきた。

『……一応?初日なんだし、ゆっくり入った方いいんじゃないか……って思わなくないから早めに声かけに来てやったんだ』


まぁ最後がいいなら別にいいけど──と、小鳥遊くんの声が段々と小さくなっていった。

ちゃんと聞こえたけど。


ここは、小鳥遊くんのお気遣いにのろうかな。


「うん、じゃあお風呂先にいただくね」

『おう。響には俺から言っとくから……その、心配すんな』

「うん」


頷いた時、なんとなくドア越しの気配がなくなった気がして、わたしは慌ててドアを開けた。


「小鳥遊くんっ」

「なんだよ」


すぐに振り向いてくれた小鳥遊くんに、わたしは笑いかける。


「ありがとう」

「はっ……!?別に俺は……わ、わかったから早く入ってこい!」


またすぐそっぽ向いちゃった。


「ふふっ、うん。行ってくるね」
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