御曹司たちの溺愛レベル上昇中
……ちょっと単純かもしれないけど。さっきはネガティブになったりしたのに。
「小さな幸せってやつかな」
ひとり笑って、お茶を手にソファへ行こうとした時──固まった小鳥遊くんがいた。
ナイスタイミング。
「小鳥遊くんちょっと聞きたいことがあ――」
「は」
は?
「は、半径三メートル以内に近付くなっ!」
えっ……?
顔を真っ赤にしそれだけを言って、小鳥遊くんは風呂場の方へ走っていった。
泡風呂のこと、聞きたかっただけなのに。
……わたし、何かした?
特に心当たりはないのだけれど……でも、近付くなって言われちゃったのには訳があるはず。
お茶を持ったまま立ち尽くしていると、
「今の、気にしなくていいですよ」
「響くん……」
二階からおりてきていた響くんは、わたしの横を過ぎて冷蔵庫から水のペットボトルを取り出した。
一口飲むと、響くんはまた口を開く。
「颯くんはただ照れてるだけでしょ、あんなの」
「照れ、てた……?」
「そう、貴女の湯上がり姿を見て」
「……え」
だとしても近付くな、っていうのが照れなの?
と言うより──
「聞いてたの?」
「ええ、階段の途中で。聞きたくて聞いた訳じゃないですけど。なんか貴女が気にしてるようだったので、同居人として一応フォローしてみました」