御曹司たちの溺愛レベル上昇中



「……強力粉に、薄力粉?」



響くんが読み上げた部分はわたしが小鳥遊くんの言葉通り、欲しいもの、いるものの類い。




「え、ダメだった?」


不安になり二人のもとへ。



「いやダメってわけじゃなくて……もっとこう……あんだろ!?」


「僕も何かしらご自分の物を買ってくると思ってましたけど……何でこの二つなんですか?」


小鳥遊くんと響くんはわたしを見据える。






「えっと……お菓子作りがしたくて」



『お菓子作り?』


小鳥遊くんと響くんは同時に首をかしげた。
そんな二人にわたしはキッチンを指差す。




「あんなにいっぱい機能があるオーブン見たら、お菓子作りしたくなっちゃって……わ、わたしの家にはなかった機能だらけだから使いこなせるかはわからないけど」


そう俯きがちに伝えれば、二人は笑った。


「本当安上がりお前。好きなもの買っていいっていうのに、強力粉と薄力粉って」

「無駄遣いしていないのはいいですけどね」


「だったら、菓子作り頑張ってくれよ?村田よりうまいの期待してる」


「オーブンの使い方なら、食器棚の下の引き出しにありますから。いつでもどうぞ」




にしても強力粉と薄力粉って――とまた笑い出す二人。





もう……




でも、楽しみだからいっか。



オーブンの使い方をマスターしていっぱい作ろっ。

村田さんみたいには、多分無理だけど。






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