御曹司たちの溺愛レベル上昇中
――食後、小鳥遊くんたちが自室に戻ってすぐ、わたしは早速説明書を取り出し、ソファで熟読していた。
「……んー」
アパートでは、ほとんど温めるだけの役割だったオーブン……しかも小さかったから説明書なんかどっか行ってたけど。
ここのはルームシェアだからか、大きいオーブンで沢山機能があるし、料理もお菓子作りの幅も増えそうっ。
まぁ……わたしのなかでだけど。
「こんなに覚えるの大変……でも早くマスターして成功させたいな。そしたら、ポテトチップスよりは体にいいはず!」
よし!とわたしはガッツポーズをした。
「……一人で楽しそうなとこ悪ぃけど、風呂入ってこいよ」
「あ……う、うん。ありがとう」
つい、一人だと思って独り言を……でも小鳥遊くんに聞かれてた。
ちょっと恥ずかしいっ。
早くお風呂行ってこよ――
「……あぁーきもちー」
さすがに、毎日泡風呂……ってわけじゃないけど。
でも何かしら入浴剤はちゃんと入ってて、
「いい香り……」
これもきっと、そこらで買えるような物ではないんだろうな。
すくったお湯をわたしはまじまじと見つめた。
「でもそのお風呂に毎日入れてるわたし……なんて贅沢なんだろう」