御曹司たちの溺愛レベル上昇中
仕方なく、赤点回避のためにいろんな先生をつかまえては質問したから遅くなってしまった。
今日が買い物当番じゃなくて良かったぁ……もっと遅くなるとこだったもの。
でもご飯の準備があるから、と小走りで、共有ルームの扉を開けた。
「ただいま……って……え?」
「あ、お帰りなさい」
「おーお帰りーっと……振り向いたら負ける!」
二人ともソファに座りながら大画面のテレビで……
ゲームしてる──
初めて見たよ?
しかもテスト前に。
「あぁー!」
「はい僕の勝ちー」
勝敗に一喜一憂する小鳥遊くんたちにわたしは後ろから声をかける。
「あの……二人とも」
「ん、お前もやる?」
「コントローラーありますよ?」
振り向く二人にわたしは首を振った。
「いや……わたしは大丈夫かな」
「あーあれだろ?テストあるけどーってやつ。俺は勉強しなくてもいつもギリセーフだから」
「僕のおかげ」
「わかってるって」
「響くんのおかげって?」
聞けば小鳥遊くんも響くんも、コントローラーを離し、わたしに体を向けてくれた。
「いつも響に言われたとこの問題にヤマ張って、そいつやると的中すっから。こいつ俺らの中で一番頭良いんだぜ?むかつくけど」
「なら教えないよ?」
「全然むかつない。いつも感謝してる」
小鳥遊くんは咄嗟に正座して響くんに笑いかけるも明らかな作り笑顔に、響くんは眉を歪めた。
「いつも?」
「テスト期間だけ感謝してる」
「むかつく」
「は!?」