御曹司たちの溺愛レベル上昇中



***





自室にて──小さなテーブルに教科書とノートを広げたまま、わたしは勉強そっちのけで、雪さんのことを考えていた。



"関わらないで欲しい"


「んー……」



響くんには、ちょいちょい冷たくされた時もあったけど今は響くんと、それなりに話せるようになってきた気はするから、やっぱり時間が必要なんだよね。


でも……あの手の土はいったい──



考えるあまり、意味もなくノートの端に『土』と書いてしまった。


「いかんいかんっ」


字を消して、頭を切り替えようと伸びをする。




「はぁー……まずは自分のことか。テストが終わってからだったらいくらでも悩めるはずっ」


赤点とったら晩御飯の準備とかに響いちゃうし、迷惑はかけたくないからね。


いざ勉強タイム──




コンコン……



「ん?」



気合いを入れた途端にノックされたドアへ顔を上げた。




『琉衣さん、ちょっといいですか?』


ドア越しの声は響くんだった。


「どうぞー?」



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