御曹司たちの溺愛レベル上昇中
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自室にて──小さなテーブルに教科書とノートを広げたまま、わたしは勉強そっちのけで、雪さんのことを考えていた。
"関わらないで欲しい"
「んー……」
響くんには、ちょいちょい冷たくされた時もあったけど今は響くんと、それなりに話せるようになってきた気はするから、やっぱり時間が必要なんだよね。
でも……あの手の土はいったい──
考えるあまり、意味もなくノートの端に『土』と書いてしまった。
「いかんいかんっ」
字を消して、頭を切り替えようと伸びをする。
「はぁー……まずは自分のことか。テストが終わってからだったらいくらでも悩めるはずっ」
赤点とったら晩御飯の準備とかに響いちゃうし、迷惑はかけたくないからね。
いざ勉強タイム──
コンコン……
「ん?」
気合いを入れた途端にノックされたドアへ顔を上げた。
『琉衣さん、ちょっといいですか?』
ドア越しの声は響くんだった。
「どうぞー?」