御曹司たちの溺愛レベル上昇中
「だからノックしなって言ったのに」
「開けっぱの小柳が悪いだろ?」
玄関には小鳥遊くんと響くんがいて、
わたしは駆け寄って尋ねた。
「え、また村田さんから連絡でも?」
「ないけど?お前が朝早く出てったのを雪兄が見たって言うから、二人連れて来たわ」
え?
二人?
「こ、こんにちは……」
「雪さんっ」
ひょっこり顔を覗かせる雪さん。
来てくれたんだ──
「ごめんなさい、雪さんまでアパート……来てもらって。外の見た目通り汚いでしょう」
苦笑いするわたしに、雪さんは首を振った。
それも心なしか、嬉しそうに。
「温かみがあって……畳の香りもするし、俺は嫌いじゃない。むしろ住みたいくらい」
そういって自分から進んで部屋に入ってくる雪さんに、少し驚いてしまう。
小鳥遊くんたちも上がって、四人。
……この部屋の中に四人もいる。
「雪兄も幸せスモールだな」
「なんか失礼じゃない?」
「俺は丁度いい……」
会話がやまないこの空気感、心地いいな。